※本記事はこれからAmazon AIのサービスを学習する方向けの概要記事となります。
先日行われたAWSが提供をしているレコメンデーションエンジンについてのセミナーとハンズオンに行ってきました。
今回は、前半のセミナーについての参加レポートをお伝えしたいと思います。
■企業におけるAI/MLの利用について
ラージエンタープライズな企業で多く利用されています。特に製薬のなどのセキュリティが高い企業でも世界中で使われています。
■AmazonAI Stackについて
AmazonでAIを使う上で基本的な考え方がありますそれが、「Amazon AI Stack」です。
このAmazon AI Stackは、AWSで提供されているAIサービスを各レイヤーに分けて記しているものになります。
当日は、こちらのAIStackを下記のように料理 に例えていました。
[1]APIベースのサービス
(スーパーの総菜のようにすでにできていておいしいもの)
AWSで様々な切り口にあわせて学習済みのアルゴリズムが組み込まれたAPIサービスを提供。開発者でなくても利用することができるAI/MLのサービスになっています。
オートMLなどのAIサービスのアプローチから始めていき、様々な角度から自社のデータをAIという切り口で試すことができるサービスになっています。
[2]SageMakerのようなMLプラットフォーム
(必要なものがそろったキッチンのようなもの。自分が食べたい食材を調理できる)
AI/MLを実施するのに必要なコンポーネンツは用意されているので自分のデータを使って自由にアレンジをすることができます。
下記は、その機能の概要になります。
Sagemakerに用意されているすぐに利用することができる機能
・Amazon SageMaker ground truth:データのラベル付け(アノテーション)ができる仕組み。半自動、手動など選ぶことが可能。学習タスクを作成して、作業がしやすくなる環境を用意できる。
・SageMakerビルトインアルゴリズム:用途に応じた一般的なアルゴリズムがサービス内で選択可能。
・サンプルノートブック:サンプルとして、それぞれテーマに沿ったNotebookの記述がされており、中身を確認することで、仕組みを理解することができ、応用利用が可能。
[3]MLフレームワーク&インフラストラクチャレイヤー
(食材であり、キッチンを自分で作るようなもの)
・エラスティックインファレンス
エラスティックインファレンスとは、インフラストラクチャレイヤーの機能となっており、CPUインスタンスに対して、GPUを後付けできる機能のことです。
これにより、低コストで、高パフォーマンスの推論ができるようになります。
・マーケットプレイスによるモデル利用
モデルのマーケットプレイスでは学習済みのモデルを使うことができます。例えば、上記の写真のようにApacheMXネットのApacheライセンス上でGluonCVを使えます。
マーケットプレイスでは、一般的なアルゴリズムや、学習済みモデルなどがすぐに利用することができます。
・レイテンシーセンシティブにも対応
AWS IoT、Greengrass、SageMaker Neoなどで、軽くしていくことが可能
※レイテンシセンシティブとは…レイテンシーの遅延がビジネスクリティカルになるようなアプリケーションやシステムのこと
■AIプロジェクトの進め方の例
最初はありものを使って、素早く検証を実施。だめなら、さらに詳細な分析をしていく。という方法があります。フローとしては、以下のようなイメージになります。
APIサービス→Amazon SageMaker→MLフレームワーク&インフラストラクチャ
■Personnalizeについて(Amazon.comにおけるパーソナライゼーションの考え方について)
登壇者はクリストフさん
クリストフさんは、Amazon.comで実際に商品のレコメンドをしていた人です。(写真左)
クリストフさんが、現場で感じたレコメンデーションについての考え方を紹介していただきました。
■パーソナライゼーションにおける2つのレイヤーについて
パーソナライゼーションは「ビジネス的なレイヤー」と「人間的なレイヤー」に分けられます。
・ビジネス的なレイヤー
レコメンデーションは客とサービスをつなげること
サービス提供者と客がつながることで利便性を高める
・人間的なレイヤー
顧客はいつも不満を持っている、へトロジニアス(個性)が欠けている
個人まで念頭に置くことがレコメンデーションエンジンを作る上で必要
カスタマー :”へトロジニアス(個性)”&”Dissatified(不満)”
■売り手に対して、新しいリージョンで商売を始める場合の手法
Amazonが売り手に対して、新しいリージョンで、どういう商品を売ればいいのかをサジェストする際の手法として、以下の3つがあるようです。
1、トレンド、人気のあるもの
その国のトレンド、人気商品についてをサジェストした場合、レコメンドの成功率は1~2%とのこと
2、売り手が持っているアイテムの中からどれが売れるか
売り手が持っている在庫の中から、どの商品が実際に売れているかをサジェストしたところ、レコメンドの成功率は「1」の+4%
3、どれぐらいの販売数で売れるか
「2」にそのアイテムがいくつくらい売れるかとサジェストした場合
サジェストの成功率は全体で20%になるそうです。
5年前は複数の要素を含めたターゲットマーケティングができませんでした。(技術的に)
上記の写真は、パーソナライゼーションをする際の課題についてです。
■パーソナライゼーションにおける課題
・Cold Starts
Amazon.comの中でも問題になっている課題の一つです。
新商品が新しくマーケットに投入された場合どうやってレコメンドを出していくべきか難しい
・Populaly
人気のあるものについてレコメンドする。季節などについてレコメンドする
→一過性のものであり、必ず万人受けするとは限らない
・Scale
ビジネスの規模によっては、同じモデルがマッチしない
・Evaluation
どうやってレコメンデーションモデルをしていくのか社内でどういうKPIを使って評価するのか。サイクルタイムが長くなる
■モデルを評価する方法
1、モデルそのものの評価の仕方
2、ABテスト ユーザーグループを分けて、実際どうだったかで判断
3、ビジネスのKPIがどのようになったかを観察する。ビジネス的に効果があるか
■レコメンドで利用されるアルゴリズムについて
レコメンドのアルゴリズム(HRNN):階層を持たせて分析できるアルゴリズム。Amazon.comがこれまで培ってきた購買行動をアルゴリズム化したものです。
このアルゴリズムはAmazon Personalizeにも入っています
その他Amazon Personalizeでは、パーソナライゼーションの課題にも挙げられていた「Cold-starts」に対して対応することができるHRNN等のアルゴリズムを選ぶことができます。
NETFLIXのCEOがパーソナライゼーションについて語った言葉
「スターバックスでは自分がほしいものを欲しいようにカスタマイズして得ることができる。NETFLIXも同様に欲しいものを提供できるようにしていきたい」
終わりに
今回は、セミナー内でAmazon.comにおいて、パーソナライゼーションをどういう考えのもと実施しているのか。また、AWSで提供されているAIサービスのそれぞれの立ち位置についての説明などをしていただいた内容を紹介しました。