はじめに
この記事は株式会社ナレッジコミュニケーションが運営するチャットボット と AIエージェント Advent Calendar 2025 の14日目にあたる記事です。
この記事では、弊社がDatabricks World Tour 2025 (DAIWT 2025)でブースに展示したデモについて解説します。
本デモのテーマは、「セキュアなデータ活用と業務自動化の両立」です。データガバナンスを徹底しながら、AIエージェントがマーケティング担当者の施策立案を支援する事例をご紹介しました。
ビジネス課題
多くの企業で以下のような課題が存在しています。
・データガバナンス課題
・営業担当者が他地域の顧客情報まで見えてしまう。
・部門によって必要なデータ項目が異なるのに一律のアクセス制御しかできない。
・マーケティング業務の課題
・過去の施策レポートが活用されず、埋もれている。
・データ分析とレポート読込に時間がかかる。
これらのビジネス課題解決に向けて、以下のデモを作成し、ご紹介しました。
シナリオ①「権限管理とマスキングによるデータガバナンス」
概要
企業における部門ごとの異なるデータアクセス要件に対応したガバナンス実装例になります。
登場人物とアクセス制限
本デモでは、以下のような組織構造を想定しています。
| 部門 | 役割 | 地域アクセス | 連絡先情報 | 年齢・生年月日 |
|---|---|---|---|---|
| 営業部門 東北担当 | 営業活動 | 東北地域のみ | 閲覧可能 | マスキング表示 |
| 営業部門 関東担当 | 営業活動 | 関東地域のみ | 閲覧可能 | マスキング表示 |
| 営業部門 関西担当 | 営業活動 | 関西地域のみ | 閲覧可能 | マスキング表示 |
| マーケティング部門 | 施策立案 ・分析 |
全地域 | マスキング表示 | 閲覧可能 |
利用シナリオ
担当地域顧客を参照し、営業活動を実施。
対象データ
・顧客会員情報テーブル(構造化データ:Deltaテーブル)
ポイント
このシナリオでは、
・行レベルセキュリティによる地域フィルタリング
・列レベルセキュリティによる個人情報マスキング
・役割ベースのアクセス制御(RBAC)
を実現しています
動作確認
営業担当者(関東エリア担当)がクエリすると、自動的に自分の担当地域のデータだけが返されます。アプリケーション側でフィルタ条件を追加する必要はありません。
マーケティング担当者は全地域のデータを集計できますが、連絡先情報はマスキングされ、代わりに年齢・生年月日データがアクセス可能で、詳細な世代ごとの分析が可能です。
シナリオ②AIエージェントデモ:「マーケ施策自動作成エージェント」
概要・ポイント
マーケティング施策の立案業務をデータ分析から施策案作成までエンドツーエンドで自動化するAIエージェントです。従来の作業時間を大幅に短縮し、データドリブンで精度の高い施策提案を実現します。
従来の業務フロー(Before)
- データ分析
・顧客データベースから必要な情報を抽出
・各KPIの比較
・Excelでグラフ作成 - 過去施策の調査
・共有フォルダから関連レポートを検索
・各ファイルを開いて内容確認
・成功・失敗要因を手作業で整理 - 施策案の作成
・ターゲット顧客の選定
・施策内容の企画
・スケジュールとKPI目標の設定
対象データ
・顧客会員情報テーブル(構造化データ:Deltaテーブル)
・マーケティング施策実施レポート(非構造化データ:txtファイル)
AIエージェントによる自動化(After)
AIエージェントが以下のステップを自動実行します:
ステップ①:KPIデータの自動分析
エージェントが顧客データベースに自動でアクセスし、関連するKPIを抽出・比較します。
・対象地域・世代の顧客数
・平均購入額の推移
・アクティブ率(直近30日、90日)
マーケティング部門のアクセス権限により、年齢・生年月日データを活用した詳細な世代分析が可能になります。
ステップ②:関連資料の自動検索
過去の施策レポートから関連する情報を自動抽出します。
・類似施策の実施結果
・成功要因の分析
・失敗から得られた知見
・顧客の反応データ
ステップ③:施策案の自動生成
LLMが上記の情報を統合し、構造化された施策案を出力します。
シナリオ②AIエージェントデモのアーキテクチャ解説
主要コンポーネント
- AIエージェント (Mosaic AI Agent Framework)
役割:ユーザーからの指示を受け、タスクを分解・実行
機能:ステップ作成、結果抽出、ユーザーへの応答生成 - Databricks Genie
役割:構造化データの分析・処理
機能:自然言語クエリをSQLに変換して実行 - LLMモデル (Databricks Model Serving)
役割:施策資料などの非構造化データの処理
機能:関連資料(施策実施結果レポート)抽出、施策特徴量のベクトル変換
全体フロー
1.ユーザーからの指示
・マーケティング担当者が自然言語で質問を投入
・「顧客会員情報とマーケティング施策実施結果から、各世代別顧客に合わせたマーケティングプランを策定してください。」
2.AIエージェントによる自動処理
・エージェントが質問内容を理解し、目標を定義
・必要なステップを自動的に作成・実行
3.2段階のデータ取得と分析
ステップ①:KPI集計・比較 – 構造化データの分析
ステップ②:関連資料抽出 – 非構造化データの検索
まとめ
Databricks World Tour 2025のデモでは、部門別に最適化されたデータガバナンスを維持しながら、同時にAIによる業務効率化が実現できることをお示ししました。
重要なポイント
1.業務特性に合わせたアクセス制御
・営業は顧客との連絡に必要な情報にアクセス
・マーケティングは分析に必要な情報で施策立案
2.構造化・非構造化データの統合が鍵
・年齢・世代データを活用した精密分析
・過去の知見(テキスト)との組み合わせ
3.AIエージェントによる生産性向上
・時間のかかる作業を自動化
・人間は戦略的判断に集中
おわりに
弊社はDatabricksパートナー企業として、本記事でご紹介したようなデータガバナンス設計やAIエージェント開発を支援しています。AIを活用した業務効率化にご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。








