Amazon S3編~ファイルサーバのバックアップ~

先日、米国Amazon Web Services(AWS)がストレージサービスの「Amazon S3(Simple Storage Service)」において、Cross Origin Resource Sharing(CORS)のサポートを開始すると発表しました。
S3については後ほど説明したいと思いますが、このサポートによって異なるドメインで提供するWebアプリケーションから、S3上にあるデータへのアクセスができるようになります。

CORSとは、主コンテンツと異なるドメインにあるリソースへのリクエストを行うWebアプリケーションの開発を可能にする仕様のことです。
今回S3がCORSをサポートしたことで、S3上に保存されたWebフォントや画像などを、異なるドメインで提供しているWebページやスタイルシート、アプリケーションなどで参照できるようになるというものです。
さらに、ドラッグ&ドロップでのS3へのアップロードやアップロードの進捗を表示など、Webアプリケーションから直接コンテンツを更新したりできるHTML5を実装することが可能になりました。

今までこうした機能を実現するためには、WebアプリケーションとS3の間にプロキシサーバを用意する必要があったため、今回のCORSのサポートによって無駄が削減され、さらなるS3の有効活用につながるのではないでしょうか。

これまでも何度かバックアップに関して話をしてきましたが、今回もそんなバックアップに関連した話を記述したいと思います。
冒頭でも少し出てきたかと思いますが、Amazon S3(Simple Storage Service)というAWSサービスをご存知でしょうか?

S3とはインターネット用のストレージサービスで、よりスムーズにウェブスケールなコンピュータ作業ができるようにと設計されました。
S3ではいつでも、ウェブ上のどこからでも容量に関係なくデータを格納・取得できます。これにより、拡張可能で信頼性が高く、安全で、高速でありながら安価なインフラストラクチャを利用することが可能になります。
また、S3でのデータ耐久性は99.999999999%(イレブンナイン)と言われており、S3に1万個のデータを保存した場合でもそのうちの1データが障害によって失われる可能性は平均で、1000万年に1度あるかないかというほどの耐久性です。
これは、S3領域の複数の機器に対する冗長構成によって実現しているということです。

S3にただデータを保存するだけで、バックアップやスケーリング、デバイスの故障、その他災害などといったデータに関する心配事から開放されるでしょう!

ということで今回は、ファイルサーバでのバックアップを例にあげて、S3を採用することによるメリットや、構成例等を説明します。

バックアップをおこなっていくうえでの全体の課題としては、以下のような点があげられるかと思います。

・ファイルサーバのバックアップ方法としてテープバックアップをおこなっている場合、定期的なテープの交換作業およびリストア時における該当テープの調査とサーバセットアップ等の運用に関する工数がかかる
・バックアップ保存先が単一拠点の場合、大規模災害時にデータを喪失してしまう

ここで、上記の問題を解決できるS3が登場します!S3の導入メリットは以下になります。

・容量無制限のS3をバックアップストレージとして採用することでテープのように、「容量がいっぱいになったらテープ交換しなければならない」といったことがなくなり、作業工数の削減につながる
・単一拠点ではなく、複数拠点に保存(S3リージョン内で自動複製)されるのでデータ堅牢性が高く、BCP強化に最適

また、以下のようなサードパーティ製のツールの利用も可能です。

・Cloud Berry:リストアがファイル単位で簡単におこなえる
・WebDrive  :Windows ServerのファイルをS3にバックアップする場合、ファイルサーバとS3を自動的に同期することが可能

■構成イメージ

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いかがでしたでしょうか?
以上のことから、サーバのバックアップをおこなう際の手段としてS3も非常に有効であるということがお分かりいただけたかと思います。
運用負荷の軽減及び遠隔バックアップの災害対策を目的とした、AWSのストレージサービスS3を是非利用しましょう!

次回は、「Amazon EC2編~microインスタンスのSWAP領域について~」ということでお話しますのでお楽しみに!

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