【Data + AI Summit 2025セッションレポート】数か月かかっていたマーケティング分析が数日で完了!?Databricksが切り拓く新たな可能性

本記事は、Data & AI Summit 2025にて発表されたセッションの一つである「Data Intelligence for Marketing」を翻訳し、まとめたものです。

はじめに

マーケティングの世界では、顧客接点の爆発的な増加とデジタルチャネルの多様化により、膨大なデータを統合・分析することが成功の鍵となっています。しかし多くの企業では依然としてデータサイロが存在し、インサイト(意思決定に関わる発見や根拠)の取得までに膨大な時間がかかるという課題を抱えています。
Databricksは、この課題に対する革新的な解決策として、マーケティングデータ統合の新たなパラダイムを提示しています。

マーケティングデータ統合の新時代:Databricksが実現するデータインテリジェンス

1. マーケティングデータ統合の重要性

マーケティングにおけるデータ活用は今、大きな転換点を迎えています。Databricksが発表した新たなマーケティングソリューションは、これまで分断されていたマーケティングデータと顧客データを一元化することで、マーケティング担当者の意思決定プロセスを根本から変革します。

マーケティングデータの課題

  • データの分断
  • 複数の「信頼できる情報源」の存在
  • 膨大な数のダッシュボード
  • 統一された顧客像の欠如

Databricksによる解決策

Databricksは、18ヶ月前から自社のマーケティングデータを一元管理するためのレイクハウス構築に取り組んできたようです。そしてこの経験を基に、すべての顧客に同様のソリューションを提供できるようになりました。

2. Medallionアーキテクチャによるデータ統合

Databricksのマーケティングソリューションは、効果実証済みのMedallionアーキテクチャに基づいています。

役割 処理内容
ブロンズ層 データ取り込み すべての自社データ・外部データを取り込む
シルバー層 ビジネスルール適用 データのクレンジング、エンリッチメント、ID解決などの処理
ゴールド層 ビジネス活用 分析レポート、ダッシュボード、AI活用のための最終データプロダクト

このアーキテクチャにより、単にレポーティングのためだけでなく、異なるプラットフォームでのキャンペーン活性化にもデータを活用できるようになります。

3. 主要ユースケース

Databricksのマーケティングソリューションが対応する主なユースケースは以下の通りです。

Customer 360

すべての顧客データとマーケティングデータを1箇所に統合し、包括的な顧客像を構築します。これを基盤に、他のすべてのユースケースを可能とします。

キャンペーン管理

  • メディアミックスモデリング
  • アトリビューション分析
  • キャンペーンの最適化

データアクティベーション

最適化されたキャンペーンを異なるプラットフォームで展開する仕組みです。
これらのユースケースは「取り込み」→「変換」→「アクティベーション」という3層構造で実現されます。

4. 導入による劇的な時間短縮

従来のマーケティング分析は手作業に頼っており、インサイト取得までに8〜12週間もかかっていました。ですがDatabricksのソリューションでは、これがなんと数日にまで短縮されます。
この大幅な短縮により、実行中のキャンペーンに対してよりリアルタイムに、より有効な施策を実行することが可能となります。

5. Genieによる自然言語インターフェース

Databricksは「Genie」という自然言語インターフェースを提供しており、専門知識がなくてもデータに質問できるようになっています。

Genieの特徴

  • すでに100人以上のマーケターが利用
  • 数千の質問が既に処理済み
  • 将来的には、ダッシュボードよりもGenieが先に使われるようになる見込み

6. セキュリティとガバナンス

Databricksのマーケティングソリューションは、強固なセキュリティ機能を備えています。

  • 各レイヤーでのアクセス監視
  • 権限管理
  • Unity Catalogによる一元的なセキュリティ管理

7. 導入ステップとベストプラクティス

以下はDatabricksのマーケティングソリューションを導入するための推奨ステップです。

1. 目標・KPI/KGIの明確化
まず、マーケティング活動で達成したいゴールや、追うべきKPI/KGI(例:リード獲得数、コンバージョン率、LTV向上など)を明確に設定します。これにより、データ統合や分析の方向性がぶれず、ビジネス成果に直結したデータ活用が可能となります。

2. レイクハウスの構築
自社内外の多様データソースを集約し、一元管理できるレイクハウス基盤を整備します。

3. Medallionアーキテクチャ設計・実装
ブロンズ層・シルバー層・ゴールド層の3層構造を設計し、データの品質や活用目的に応じて段階的に整備します。

4. ビジネスルールの適用・データクレンジング
シルバー層でビジネスルールやデータレンジング、ID解決などを実施し、分析やAI活用に適したデータを整えます。

5. ユケースの展開・効果検証
Customer 360やキャンペーン最適化など、優先度の高いユースケースから順次展開し、設定したKPI/KGIに基づいて効果を検証・改善します。

まとめ

Databricksのマーケティングソリューションは、分断されたマーケティングデータを統合し、迅速な意思決定を可能にする革新的なプラットフォームです。Medallionアーキテクチャを採用し、セキュリティ機能も充実しており、さまざまなマーケティングユースケースに対応可能です。

マーケティングデータの統一は単なる技術課題ではなく、ビジネス戦略の核心部分です。Databricksは、この課題に対する包括的なソリューションを提供することで、マーケティング部門におけるデータ活用の可能性を大きく広げます。

今後も機能の拡張が進み、より多くのユースケースに対応していくことが期待されます。データに基づくマーケティング意思決定の新時代が、今まさに始まろうとしています。

Data Intelligence for Marketing公式ページ

最後に

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この記事を書いた人

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