Amazon Braket 破壊的なフルマネージド型量子コンピュータサービス

量子コンピュータはガートナーの「2019年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」にも選定されているサービスで、
そう遠くない未来にビジネスでの実利用が可能になると言われています。
そんなサービスが、早くもAWSのフルマネージドサービスとしてリリースされました。

初めて量子コンピュータを調べたときには、まず宇宙(量子)の話から始まり哲学の話にも進み・・・と非常に焦ったことを覚えています。
数年後に無料体験できるサービス上でマックスカット問題のシミュレーションを動かし、大きな可能性を感じました。

量子コンピュータとは

「量子力学の原理」を利用して計算する次世代コンピュータです。
スーパーコンピュータを超えるものだとする記事も見られますが、正確には特定の処理に特化したスペシャリストのようなコンピュータで、超並列処理が得意という特性を持っています。

n 量子ビットがあれば、2nの状態を同時に計算出来るので、「組合せ最適化問題(様々な条件下での最適な組み合わせを選ぶ)」のような多くの組み合わせから、条件に合わせて最適なものを選ぶような演算に向いていると言われています。
量子コンピュータはハードウェアからして従来のコンピュータと異なります。


※画像は「Amazon Braket – Get Started with Quantum Computing」から引用

量子コンピュータは万能か

量子コンピュータは、前述の通り特定の処理に特化したコンピュータです。
そのため、量子コンピュータの活用に向いている処理であるかどうかを見極める必要があります。
今後、量子コンピュータの利用が一般的になるにつれて、Python等で利用できるライブラリが増え、現時点では不得手な処理に対しても適用できるようになる可能性が高いと思われます。

量子コンピュータでしか出来ないことはあるのか

YesでありNoです。量子コンピュータ以外のコンピューティングリソースのスペックが飛躍的に上がっています。
加えて、「総当り」から「当たりをつける」ような組み合わせ問題の解決方法の開発が進んでおり、
従来ではスーパーコンピュータでも難しく量子コンピュータでしか出来ないと言われていた演算も出来るようになってきています。

Amazon Braketの何がすごいのか

ハードウェアを所有する必要がないという点はもちろんですが、
プログラミングスキルや専用知識が必要だった量子コンピュータを、jupyter notebook 形式のインターフェースでフルマネージド型のサービスとして扱うことができる点が大きいです。
従来であれば、数ある量子プログラミング言語から目的にあった言語を覚え、量子コンピュータの実行環境を準備するという莫大なコスト と工数をかけなければ利用できなかった量子コンピュータを簡単に利用することが出来ます。
ハードルが高かった量子コンピュータを一般的に利用できるようになることで、利用できる範囲が飛躍的に増え、更に利用シーンが増えていくと思われます。

参考記事

「量子コンピューターの “よくある誤解” Top10」

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